新型リーフZE2で、日産の本気を感じた。疑っててゴメンと言いたくなった試乗記

ついに新しくなった三代目の日産リーフに、しっかり長時間乗ることができました。
結論から言うと、かなり完成度が高いです。正直、ここまで良くなっているとは思っていませんでした。静かさ、乗り心地、運転支援、日常での扱いやすさ。どれも想像以上で、乗っているうちに「やばいな、欲しくなってきたぞ」と本気で思ったくらいです。
もちろん、気になる点がゼロではありません。そこも含めて、新型リーフZE2の実力を率直にまとめます。購入を検討している方はもちろん、これまでリーフにあまり興味がなかった方にも参考になるはずです。
NISSAN LEAF B7 Gグレード
今回試乗したのは、上位クラスのB7 Gグレード。ボディカラーはCMなどでもおなじみのルミナスターコイズとスーパーブラックのツートンでした。
Webカタログで見た時は、正直そこまで惹かれませんでした。でも実車はかなり印象が違います。光の当たり方で表情が変わって、未来感のあるリーフのキャラクターとも合っていました。
この色、写真より現物のほうがずっと良いです。街で見かけたら似合う色だと思います。
まず驚いたのは静かさ。EVだから当然…で済ませられない完成度
走り出して最初に感じたのは、やはり車内の静かさです。
電気自動車なのでエンジン音がしないのは当然ですが、それだけではありません。外から入ってくる音の遮断もかなりしっかりしていて、全体としての静粛性が高いです。普段乗っているBMW i4と比べても、同じくらい静かだと感じました。
静かな車は高級感に直結します。新型リーフは、この最初の一歩でもう「ただの実用EVではないな」と思わせてくれます。
街中での扱いやすさがとてもいい。見切りと軽快感が効いている
視界は悪くありません。曲がる時の見通しも良く、車体の感覚もつかみやすいです。
特に印象的だったのは、街中での取り回しのしやすさ。車自体が軽く感じられて、細い道でも扱いやすい。先代よりフロント部分が短くなっているおかげで、見通しの悪い道路に出る時も鼻先を少し出して左右確認しやすくなっています。
この「ちょっとした扱いやすさ」は、毎日乗る車ではとても大事です。スペック表には出にくい部分ですが、実際の満足度にはかなり効いてきます。
気になる人が多いワンペダル。完全停止はしないが、実用性は高い
二代目リーフからの乗り換えを考えている方が、一番気になるのはここかもしれません。ワンペダルで完全停止するのかという点です。
結論を言うと、新型リーフはワンペダルだけでは完全停止しません。
その代わりに、インテリジェントディスタンスコントロールという機能があります。前車に近づくと自動で減速し、最後は停止までしてくれる仕組みです。信号待ちなどで前に車がいれば、ブレーキを踏まなくても止まってくれます。
前に車がいない時はブレーキを踏む必要がありますが、実際に使ってみるとブレーキを踏む回数はかなり減ると感じました。
最初は「完全停止しないのはどうなんだろう」と思っていたのですが、乗っているうちに「あれ、これでもいいのかも」という感覚に変わってきました。
とはいえ、完全停止に慣れている人ほど、モード選択で「完全停止あり・なし」を選べたらもっと良かったと思うはずです。この点は好みが分かれそうです。
乗り心地は大進化。マルチリンク化の効果がはっきり出ている
今回の試乗で最も感心したのが、乗り心地の良さでした。
舗装が荒れていて、わだちや穴があるような道も走りましたが、車体の揺れをうまくいなしてくれます。かなり路面が荒れている場所でも、嫌な突き上げを感じにくい。入力の角が取れていて、丸く穏やかに伝わってくる印象です。
その理由として大きいのが、リアサスペンションの変更です。先代の二代目リーフはトーションビームでしたが、新型リーフはマルチリンクになっています。この差はかなり大きいです。
連続するコーナーでもタイヤがしっかり接地している感覚があり、荒れた路面でも落ち着きがあります。普通の路面状況であれば、快適性はかなり高いです。
高級車レベルと言ってもいいと感じました。
加速は力任せではなく、上質でスムース
EVらしい加速もしっかり味わえます。
ただ、新型リーフの良さは「ドンと来る強烈さ」よりも、リニアで気持ちよく、上手に制御された加速感にあります。アクセルを踏むとスーッと自然に前へ出ていく。この上質さが印象的でした。
高速道路への合流でも余裕は十分。トルクで押し出すというより、無理なく滑らかに速度が乗っていく感じです。
車両重量が同じくらいのBMW i4と比べても、かなり軽快に感じられました。シートの良さもあって、走っていてとにかく気持ちいいです。
高速道路で真価を発揮するプロパイロット2.0
新型リーフでぜひ試したかったのが、オプションのプロパイロット2.0です。
これを装着すると、高速道路でハンズオフ、つまり手放し運転支援が可能になります。メーターのインジケーター表示や室内のアンビエントライトが青くなれば、ハンズオフ可能な状態です。
実際に使ってみると、かなり安定しています。不安感がなく、安心して任せられる出来でした。慣れないうちは手の置き場に少し困りますが、例えばペットボトルのキャップを慌てず開けられる程度には余裕が生まれます。
もちろん、完全に何をしてもいいわけではありません。トンネルでGPSを受信できなくなるなど、一定条件を満たさないとハンズオフは解除されます。
ただ、このあたりも進化していて、初期のプロパイロット2.0よりも
- トンネルに入ってから解除までの猶予が長い
- トンネルを抜けた後の再開が早い
という改善が入っているようです。
実際、トンネルを出てから比較的早いタイミングでハンズオフ可能状態に戻りました。トンネル内でも運転支援自体はしっかり機能しており、このあたりの自然さはかなり好印象です。
車線変更支援も自然。提案型の機能も便利
プロパイロット2.0では、車線変更支援も使えます。ウインカーを出すと、システムが安全確認を行い、自動的に車線変更してくれます。
さらに、前方に遅い車がいる時には「車線変更しませんか」とリーフ側から提案してくれる機能もあります。ボタン操作で車線変更を任せられるので、長距離移動の負担軽減にかなり効きそうです。
普段使っているBMW i4の運転支援もかなり優秀ですが、新型リーフのプロパイロット2.0はそれに匹敵するレベルだと感じました。しかも価格差を考えると驚きです。
国産車の中でもかなり出来が良い部類だと思います。
地味に嬉しい「運転席用アナウンスモード」
これは派手さはないのですが、すごく良い機能でした。
オーディオ設定を運転席用アナウンスモードにすると、ナビの案内音声が運転席のヘッドレスト内蔵スピーカーから聞こえるようになります。他の席では、音楽やラジオの音が絞られることなくそのまま流れ続けます。
つまり、同乗者の快適さを邪魔せずに、運転者だけがナビ音声をしっかり聞けるわけです。
遠出の帰りに家族が疲れて寝ている時、ナビの案内で起こしてしまうことは意外とあります。この機能があれば、その心配が減ります。すでにオーラなどでも採用されていますが、やはり良いものは良いです。
プロパイロットパーキングは、やっと「使える自動駐車」になった
店舗に戻ってからは、自動駐車のプロパイロットパーキングも試しました。
操作はかなり簡単です。
- プロパイロットパーキングのスイッチを押す
- 空いている駐車枠の近くで停車する
- 駐車可能な枠を車が検知する
- 駐車開始をタッチし、ブレーキを離す
あとは、ハンドル操作から移動、駐車枠に収まって停止し、パーキングブレーキをかけるところまで自動でやってくれます。
二代目リーフにも自動駐車はありましたが、駐車枠の検出が不完全で、正直使い勝手は微妙でした。新型リーフはその点がかなり改善されていて、枠線がない場所でもメモリー機能で駐車可能とのこと。
しかも動作速度が遅すぎません。人が普通に駐車するのと大きく変わらないくらいの速さなので、実際に使う気になる仕上がりです。
唯一かなり気になったのはシフトボタン
ここははっきり書いておきたいところです。
今回の試乗で一番気になったのは、シフトスイッチのボタン式操作でした。
最近はこうしたボタン式シフトが増えていますが、リーフのものは特に、目で見て記号を確認して押さないと操作しづらいと感じました。
たとえば駐車場で切り返す時は、リバースとドライブを素早く行き来したいものです。しかし間にニュートラルがあり、配置も離れているため、慣れるまではもたつきそうです。
もちろんシフト操作の頻度は高くありませんし、慣れれば気にならなくなる可能性はあります。ただ、直感的かと言われると、ここは少し疑問が残ります。
シートはかなり良い。体格が違っても評価が一致した
新型リーフはシートも印象的でした。
形状がとてもよくできていて、身体の収まりがいいです。試乗中も快適で、同乗者も同じ感想でした。体格がかなり違うのに評価が一致したので、シート設計は相当しっかりしていると思います。
腰まわりのサポートも好印象でしたし、もし電動シートが選べるなら、さらに相性が良さそうです。
内装色については、どちらもファブリック生地ですが、白っぽい方が高級感は出やすいと感じました。
調光パノラミックガラスルーフは、開放感より実用性重視
装備面で面白かったのが、調光パノラミックガラスルーフです。
いわゆる「すりガラス」のように透過度を調整できる機能があり、直射日光を避けたり、視線を遮ったりできます。ガラス自体にも二層式の遮熱コーティングがされているとのことで、遮熱性能は高そうです。
ガラスルーフは見た目の開放感が魅力ですが、夏場の暑さが気になるという声も少なくありません。その点、リーフはオプション装備なので、必要な人だけ選べるのが良いところです。
後席に座った感想としても、足元に中央の張り出しがなく広々していて、座り心地は柔らかく快適。ルーフについては「ものすごく開放感がある」という感じではない一方、ガラス越しの暑さもそれほど気にならなかったようです。派手な演出というより、ちゃんと実用に寄せて作られている印象です。
デザインの好みは分かれる。前型の顔が好きという意見もある
走りや快適性はかなり好印象でしたが、デザインについては好みが分かれそうです。
フロントデザインは、新型の未来感を評価する声がある一方で、前のリーフのほうが好きという意見もありました。目の下の意匠や、テールランプの3Dホログラム風の見せ方も、面白いけれど必須ではないと感じる人はいると思います。
一方で、車全体を見ていくと、日産をイメージした2本線や3本線の型押しが各所に入っていて、細部の作り込みはなかなか面白いです。
色については、試乗車のルミナスターコイズも未来感があって似合っていましたが、落ち着いた大人っぽさではシェルブロンドも魅力的でした。プリズムホワイトも気になるところです。
試乗後の率直な感想。予想以上に良くなっていた
試乗後にあらためて印象を整理すると、新型リーフは予想していたよりずっと良かったです。
同乗者からも、シートの良さや全体の乗り心地の良さは高評価でした。フロントガラス上下方向の見え方が少し狭く感じる場面はあったものの、街乗りで不安になるほどではありません。
また、ブレーキ制御については完全停止しない点がやはり少し気になるものの、前車追従で停止までしてくれる新機能があるので、慣れれば十分実用的。できればモードで選べるとさらに良い、というのが率直なところです。
同じプラットフォームを使うアリアのような停止時の前後の揺れも、今回はほとんど感じませんでした。ここも印象が良かった部分です。
価格感もかなり強い。補助金込みで見える景色が変わる
価格面も見逃せません。
グレードや条件にもよりますが、もっとも下のグレードなら補助金を引いて350万円くらいという話もありました。補助金額が大きいこともあり、EVとしての現実味はかなり増しています。
この走り、快適性、運転支援を考えると、上位グレードでも価格に対する内容は相当魅力的です。
新型日産リーフは、日産の本気が見える1台だった
新型リーフZE2は、単に「新しくなったリーフ」ではありませんでした。
静粛性、乗り心地、運転支援、日常の使いやすさ、そのどれもがしっかり磨き込まれています。 特にシートの良さと、マルチリンク化による乗り味の進化と、プロパイロット2.0の完成度は印象的でした。
気になる点としては、やはりシフトボタンの操作性。そしてワンペダルの完全停止がなくなったことへの好みの問題はあります。ただ、それを差し引いても全体の完成度は非常に高いです。
以前のリーフで十分良かったと思っていた人でも、「さらに良くなった」と感じるはずですし、これまでリーフをそこまで候補に入れていなかった人でも、一度試してみる価値はかなりあります。
今回あらためて感じたのは、日産はリーフに本気で手を入れてきたということでした。疑っていてごめん、と言いたくなる出来でした。